グリーン・ニューディール、カーボンニュートラルや老朽建築のリフォーム盛り込むか

グリーン・ニューディール、カーボンニュートラルや老朽建築のリフォーム盛り込むか

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が遅まきながら「グリーン・ニューディール」カードを切った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による景気刺激策と気候危機に対する代案として、国内外で「グリーン・ニューディール」の重要性が取り沙汰されている状況を無視するわけにはいかなかったとみられる。文大統領は12日の国務会議(日本の閣議に当たる)で「最近グリーン・ニューディールが話題」だとし「韓国版ニューディールに含めるべきという意見が多い。グリーン・ニューディールが雇用を増やせるか協議し、書面で報告してほしい」と4省庁(環境部、産業通商資源部、中小ベンチャー企業部、国土交通部)に指示した。

 グリーン・ニューディールの「グリーン」は一般的に「環境への配慮」を、「ニューディール」は米国がかつて大恐慌克服のために試みた大規模な景気浮揚策を指す。米国では昨年初め、下院が議会内に特別委員会を設置してグリーン・ニューディール実行計画を作ることを決議した。欧州連合(EU)も昨年末、1千億ユーロ規模の「公正な転換」を中心とした「グリーン・ディール」を発表した。カーボンニュートラル(炭素中立)への転換の過程で打撃を受ける労働者の支援が骨子だ。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を排出した分、二酸化炭素を吸収する対策を立て、実質的な排出量をゼロにするという概念だ。

 韓国でも今年4月の総選挙で、共に民主党、正義党、緑色党がそれぞれグリーン・ニューディール公約を発表している。正義党と緑色党がまず「2050年カーボンニュートラル」「今後10年以内に温室ガス排出量を半分に削減」を約束し、民主党は「50年カーボンニュートラル」に向け努力すると主張した。民主党のイ・ソヨン、ヤンイ・ウォニョン両当選者は、第21代国会でグリーン・ニューディール基本法を作る計画だ。国際社会からの期待も示されている。アントニオ・グテーレス国連事務総長は最近「韓国が石炭火力発電所や炭素排出量削減などの『グリーン・ディール』推進計画を示した」とし「見習うべき手本」と持ち上げた。文大統領の発言はこのような脈絡から出たものだ。

 グリーン・ニューディールが包括する領域は広範囲に及ぶ。エネルギー、電気、通信、移動手段、住居、産業全般のグリーン化が含まれる。米国の文明批評家ジェレミー・リフキンは最近出版した『グローバル・グリーン・ニューディール』で、建物のエネルギー効率の改善、再生エネルギー安定化のためのバッテリーや水素燃料電池などの蓄電技術の普遍化などをグリーン・ニューディール事業として言及している。韓国も、昨年政府が発表した「第2次気候変動対策基本計画」に類似の事業がある。

 まず雇用創出効果が大きい国土部の「老朽建築物グリーン・リフォーム」が注目されている。これは、断熱基準の強化などを通じて、工事で建物のエネルギー効率を高めるもの。正義党正義政策研究所のキム・ビョングォン所長は「一般的なグリーン・ニューディール事業はエネルギーの転換、電気自動車の普及、グリーン・リフォームの3つが中心だが、即時の雇用創出効果が大きいのはグリーン・リフォームだ。政府が実施中の『都市再生リモデリング』事業と連携させることで直ちに実行できる」と述べた。

 最近、米スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン研究チームは、グリーン・ニューディール政策を実行した場合、2050年までに韓国で144万人分の雇用が純増するという研究結果を発表している。年間の大気汚染による死亡者が9千人減り、保健コストが112兆ウォン(約9兆7500億円)節約できると分析している。韓国国内でもソウル大学環境大学院のホン・ジョンホ教授らが昨年、再生可能エネルギーの拡大を通じて2030年までに最大約28万2000人分、2050年までに約50万3000人分の雇用創出が可能だと展望している。自動車関連産業の直接雇用人数(51万人)と同規模だ。

 ただ、政府が主導するだけでなく市民社会での議論も必要だとの指摘もなされている。グリーン・ニューディールはエネルギーの転換を中心とした産業と経済の総体的転換に及ぶが、この過程で経済性を失って座礁する産業とその従事者の抵抗、経済的困難などの解決は容易ではないからだ。緑色転換研究所のイ・ユジン研究員は「『2050年カーボンニュートラル』のような大きな企画は産業構造を変え、雇用と経済全般に影響を及ぼす。そのためEUもカーボンニュートラルという大きな目標の下、産業、交通、エネルギー、農業などの各領域で細部計画を樹立し、複雑な過程を経て意見を集約している」と述べた。環境運動連合は14日に論評を発表し「人類は臨界点を超えるほど化石燃料に従属し、絶え間ない開発を通じて成長し、今になって厳しい請求書を突きつけられている。新たな体制を作るためにエネルギー、建築、交通、生態、労働、技術などの部門ごとのロードマップを作成するとともに、国の財政や組織などの構造的な部分からの実質的な転換方策も検討すべき」と述べた。
パク・キヨン、チェ・ウリ、キム・ジョンス記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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