【コラム】新型コロナは韓国総選挙の「ブラックホール」なのか

【コラム】新型コロナは韓国総選挙の「ブラックホール」なのか

 2014年6月に投開票が行われた韓国統一地方選挙の1週間前、世論調査会社リアルメーターによる調査で当時の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の支持率は51%だった。韓国リサーチの政党支持率調査でも与党だったセヌリ党(42%)が新政治民主連合(17%)を圧倒した。2カ月前に起こった旅客船「セウォル号」惨事という超大型の悪材料で与党は劣勢に追い込まれたかと思われたが、支持率は高い状態が続いた。ところが選挙結果は世論調査とは違った。広域自治体17カ所のうち新政治民主連合は7カ所を獲得し、セヌリ党は8カ所にとどまった。

 最近も総選挙を前にコロナ事態は政府・与党にとって悪材料と考えられていたが、3月末にYTNテレビが行った調査では文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は53%に達した。政党別の支持率も与党・共に民主党(45%)が最大野党・未来統合党(30%)を大きく圧倒している。コロナが庶民生活・経済、脱原発、チョ・グク、蔚山市長選挙介入疑惑といった数々の問題を吸い込む総選挙の「ブラックホール」として作用し、大勢を変えたとの見方も出ている。

 しかし過去の総選挙と地方選挙では、世論調査が国民の投票行動を読み誤ったケースの方がはるかに多かった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で青瓦台(韓国大統領府)広報首席を務めた趙己淑(チョ・ギスク)梨花女子大学教授は先日「韓国において選挙予測は可能か」という本で「水面に浮上した氷河の一部(世論)を見て有権者の行動を予測するのは不可能だ」「世論調査では選挙を予測することはできない」と指摘した。趙氏は「共に民主党にとって難しい選挙になるだろう」「国民を両陣営に分裂させ、無党派層を共に民主党支持から離脱させたチョ・グク事態、失敗した不動産政策、これら全ての問題の背景にあるムンパ(文大統領支持者)たちの行き過ぎた集団行動などが理由だ」との見方を示した。 それでも今回の総選挙も世論調査が再び外れると簡単に結論づけるのは難しい。これまで世論調査に消極的だった中道・保守層が投票にも行かない場合、世論調査と選挙結果にさほど大きな差が出ないことも考えられる。政治不信が最高潮に達している10-20代や、コロナ事態で外出を控える70-80代など中道・保守層の投票率が下がった場合、野党の勝算は低下するしかない。

 2017年の大統領選挙で文在寅候補とシム・サンジョン候補の得票率は合計47%で、洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補、安哲秀(アン・チョルス)候補、ユ・スンミン候補は得票率の合計が52%と過半数を上回った。ここ3年の間に挫折を感じながら過ごしてきた52%の野党支持層が、政府によるコロナ対応を見て与党支持に回った可能性はほぼない。今回の総選挙における最大の観戦ポイントは、野党が前回の総選挙で三つに分裂し失った支持票を投票会場で結集できるかどうかだ。

 与党勢力は「総選挙は韓日戦」「文大統領弾劾阻止」「チョ・グク守護」など刺激的なスローガンで支持層に投票への参加を呼び掛けている。しかし世論調査では敗北が明らかにみえる野党側では、支持層に切迫かつ強力なメッセージが届いていない。これが総選挙を目前に控えた最近の様子だ。

洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者

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