韓国政府選定のマスク卸売業者に派遣された将兵らに一銭の手当もなし

 今月9日からジオヨンなどマスク卸売業者の物流センターで活動してきた韓国軍将兵が、勤務時間外の夜間・週末に勤務しても、関連の手当を一銭も受け取ることができていないことが30日までに分かった。一部の将兵は、民間業者のマスク運送を支援するため勤務時間外の夜間や早朝にも働いたが、やはり補償はなかった。韓国軍内外からは「業者が事実上、軍将兵を無給で酷使した」「とんぼ返りを見せるのは軍人、もうけるのはジオヨン」という声が上がった。

 30日に本紙が入手した韓国軍の「マスク生産支援現況」によると、韓国軍は今月9日から22日まで、ジオヨンや百済薬品などの物流センターでのマスク包装支援のため毎日71人の将兵を派遣した。延べ人数は1000人に迫る。将兵らはマスクメーカー別に5-500枚ずつ箱に詰められた製品を、薬局1軒当たりの1日供給量(250枚)に合わせて再包装する仕事を行った。午後3時から夜10時まで作業を行ったが、国防部(省に相当)が支援した食事の費用8000ウォン(現在のレートで約707円)を除いて補償はなかった。これに関して韓国軍は「人員支援についての外部の支援予算はなく、マスクメーカーからの提供資金もない」と明かした。

 韓国軍将兵の通常の日課時間は午前8時30分から午後5時30分までだ。日課時間が過ぎた夜間に、4時間30分も勤務していたのだ。のみならず将兵は週末にも業務を継続した。このため韓国軍内外からは「日課時間はいいとしても、夜間・週末まで働かせることに対しては適切な補償があるべきではないか」という声が上がった。 このように韓国軍がマスク関連の民間業者に労働力を無償提供することは、これまで論争になり続けてきた。第2延坪海戦で戦死した故・韓相国(ハン・サングク)海軍上士(曹長に相当)の妻キム・ハンナさんは今月18日、この件に関して「流通マージンを受け取る民間企業の営利活動に、税金で働く韓国軍将兵をどうして差し出すことができるだろうか」と、国防部庁舎前で一人デモも行った。キムさんは「将兵の努力した結果が、民間企業の利潤と化すのではないか」として「軍人は民間企業の『かも』なのか」と批判した。

 ジオヨンと百済薬品は、薬局を対象にした「公的マスク」供給権を韓国政府から付与された業者で、おのずと流通マージンも保障されている。業界からは「国が特定企業に対し、供給独占権でも足りぬと人件費補助までしてやるケースは極めて異例」という声が上がった。とりわけジオヨンの常任顧問を務める朴明淑(パク・ミョンスク)大韓薬師会政策企画団長は、与党「共に民主党」の比例衛星政党である「共に市民党」の比例代表23番に名簿登載され、政権レベルで企業の便宜を図ったのではないか-という疑惑が絶えない。論争が続く状況下、韓国軍は今月23日からジオヨン物流センターなどに対する将兵派遣を中断した。韓国軍関係者は「業者側で、将兵は必要ないと言ったから」と説明した。

 このほかにも韓国軍は、民間運送業者などに代わってマスク運搬作業も引き受けた。やはり適切な補償はなかったという。マスク運送の場合、午前7時から午後9時までの長時間勤務をしたり、午後9時から翌朝4時30分までの夜間運行をやったりしたケースもあった。

 国防部は「マスク関連の民間業者で勤務した将兵のための、別途の予算はない状況」としつつ「対民支援という観点だったが、将兵への補償の手段を探るため努力しているところ」とコメントした。韓国軍は2016年の貨物連帯スト当時、人員を投入して民間業者の運送を助けたことがある。当時投入された人員は、後に業者から手当を支給された。

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