【記者手帳】「30番目の感染者」になったおばあさんへのインタビューの顛末

【記者手帳】「30番目の感染者」になったおばあさんへのインタビューの顛末

 記者は17日、保健当局の指示がある前に、自ら自宅隔離生活に入った。前日午後に取材現場で会った人物が、この日の早朝に30番目の武漢コロナ確定患者と判定されたからだ。前日の16日、記者は疾病管理本部(以下、疾本)による「29番目の確定患者発生」発表の直後、その人物の居住地周辺で現場取材に乗り出した。患者の居住地付近や動線で発生する現象を取材するためだった。商店街やオリニチプ(保育所)など、周辺住民の反応取材が主な目的だった。

 29番目の確定患者の居住地について疾本が公開した情報は、「ソウル鍾路区崇仁洞」が全てだった。記者はその地域へ移動し、周辺の商店関係者や住宅街の住民を取材した。そうしていたところ、ある一戸建ての住宅の近くに街の住民が集まっているのを見つけた。防疫車両も近くにいた。

 家の前でマスクを着けたまま立っている一人のおばあさんに「ここで今、何が起きてるんですか」と尋ねた。全く予想外の答えが返ってきた。「うちの夫が新型コロナの確定患者なので、消毒をしている」ということだった。記者もマスクを着用していた。

 その後6-7分ほど、そのおばあさんと話をした。夫である29番目の確定患者が普段好んで訪れていた場所、やっていたことなどを取材した。3-4分ほど話をした後、そのおばあさんは家の中へ戻り、門を挟んでさらに2-3分ほど話をした。たまたま行き当たった取材源だが、最も正確な情報を知っている人物なので、小さなファクトであっても正確に把握したいと思うのみだった。当時取材したおばあさんの夫である、29番目の確定患者の動線は、記事に反映した。

 一夜明けると、予想もしないことに、そのおばあさんが30番目の確定患者と判定されたというニュースを聞いた。その後、保健所の選別診療所に連絡し、30番目の確定患者と接触した事実を伝えた。保健所から「3月1日まで自宅隔離せよ」という案内を受け、その後、家の外には出ていない。この記事の作成と送稿は全て自宅で行った。

 自宅隔離中にオンラインで、予想もしない報道に接した。「記者が29番目の確定患者宅を訪れるという無理な取材をした」「報道準則に違反した」という内容もあった。今回の武漢コロナ問題を取材してみた記者ならば皆知っていることだが、記者が患者の自宅を訪れるのは難しい。保健当局が患者宅の住所を公開しないからだ。記者が、後に30番目の確定患者と判定されるおばあさんと接触したのは偶然だった。その後、普段のようにファクトの確認取材を行っただけだ。なのに一部メディアは、記者にたった一度の確認電話もなく「取材競争」を繰り広げたとか、「患者宅を直接訪れた」というように批判した。

ピョ・テジュン社会部記者

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